「動詞の「語幹」と「語尾」とは」では、動詞が語幹と語尾で構成されていることを学びました。
今回は、規則動詞の現在形の人称変化を学びましょう。
人称変化とは
ドイツ語には人称変化があります。
人称変化とは、ドイツ語の不定形(動詞の原形)が、主語に応じて様々な定形になることです。(不定形と定形については「定形」と「不定形」、「定動詞」と「不定詞」とは何か その違いとは|ドイツ語文法を参照してください。)
英語では、例えば live という動詞の原形が、he が主語になると lives に変化するようなものです。
基本的に人称変化で変化するのは語尾のみ
規則動詞の現在形の人称変化は、基本的に語尾のみ主語に応じて変化します。語幹の部分は変化しません。
こういった動詞は、変化が少ないということで「弱変化動詞」ともいいます。
基本的には、語尾のみが、主語の人称や数によって変化するのです。
ただし、これには例外はあります。例外については、後ほど学びます。
語尾の変化は以下のようになります。
規則動詞の現在形の人称変化
規則動詞の現在形の人称変化表は以下のようになります。
まずは主語が単数の場合の語尾の変化です。
主語 | 語尾の変化 | |
1人称 | ich(私は) | -e |
2人称 | du(親称:君は) | -st |
3人称 | er(彼は) sie(彼女は) es(それは) | -t |
2人称 | Sie(敬称:あなたは) | -en |
続いて、主語が複数の場合の語尾の変化です。
主語 | 語尾の変化 | |
1人称 | wir (私たちは) | -en |
2人称 | ihr (親称:君たちは) | -t |
3人称 | sie (彼らは、彼女らは、それらは) | -en |
2人称 | Sie (敬称:あなた方は) | -en |
上に述べたように、基本的に、規則動詞の現在形の人称変化では、主語に応じて語尾のみが変化します。
それでは、実際の動詞を例にして、動詞がどのように変化するのか見てみましょう。
現在人称変化 singen(歌う)の例
例えば、singen (歌う)という動詞について考えてみましょう。
singen は、語幹が sing- で語尾が -en ということになります。ですので、人称変化するのは -en の部分ということになります。
例えば、「私は歌う」という風に、主語が「私は(ich)」の場合、上の表を見ると語尾変化は -e とありますので、-en が -e に変化し、語幹の sing と e がくっついて singe に人称変化します。
文章にすると、以下のようになります。
ich singe (私は歌う)
こんな調子で、全ての人称について singen を活用させた場合、以下のようになります。
私は歌う ich singe
君は歌う du singst
彼は/彼女は/それは歌う er/sie/es singt
私たちは歌う wir singen
君たちは歌う ihr singt
彼らは/彼女らは/それらは歌う sie singen
あなたは歌う Sie singen
あなた方は歌う Sie singen
効率的な覚え方
お気づきの方もいると思いますが、「1人称複数形(wir)」、「3人称複数形(sie)」、そして「2人称敬称単数形・複数形(Sie)」の活用については、常に不定詞と同じです。
つまり、このルールさえ覚えておけば、『「1人称複数形」、「3人称複数形」、「2人称敬称」の人称変化については覚えなくてもよい』ということになります。効率的ですね。
なお例外的に、sein の活用形については、この法則が当てはまらないことに注意してください。